漢方治療

漢方治療ってどんな治療法?

漢方治療は、生薬(しょうやく)と呼ばれる自然由来の成分を組み合わせ、犬や猫の体質や体調の変化に合わせて処方を行う自然療法です。
漢方の大きな特徴は、「病気になってから治す」だけでなく、体調を崩す前の段階で不調の芽を整える「未病(みびょう)」の考え方を大切にしている点です。
西洋医学では、検査で異常が見つかってから治療が始まることが一般的です。

一方、漢方治療では、

  • なんとなく元気がない
  • 食欲や便の状態が安定しない
  • 年齢とともに体力が落ちてきた

といった、まだ「病気」と診断される前の不調も治療の対象とします。

犬や猫が本来もっている回復力や免疫力、体のバランスを整えながら、病気になりにくい体づくりを目指す治療が漢方治療ですね。

漢方治療は「できるだけ薬に頼りたくない」「将来的な病気を予防したい」とお考えの飼主様に選ばれることが多い治療法です。
当院でも未病のケアを大切にした統合医療として漢方治療を取り入れています。

犬でよくみられる漢方治療の適応疾患

犬の漢方治療は、慢性疾患や体質的な不調、加齢にともなう変化などに対して、体への負担を抑えた自然療法として選択されることがあります。

椎間板ヘルニア・慢性的な痛み

犬の椎間板ヘルニアや関節の痛みでは、

  • 歩きにくくなる
  • 動きたがらなくなる
  • 触られるのを嫌がる

などの症状がみられます。
一般的には消炎鎮痛薬などで痛みを管理します。

漢方治療では、血流や体の巡り、冷えやこわばりを整えながら、痛みが出にくい体づくりを目指します。
薬の副作用が心配な場合や、長期的な体調管理を目的に選ばれることがあります。

がん(腫瘍)

犬の腫瘍には、

  • 皮膚腫瘍
  • 乳腺腫瘍
  • 内臓腫瘍

などさまざまな種類があります。
腫瘍が進行すると

  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 元気消失

などの全身症状がみられることがあります。
漢方治療は腫瘍そのものを直接取り除く治療ではありません。
免疫力や体力の維持、食欲や消化機能のサポートを目的に用いられます。
体の内側から回復力を整えながら、生活の質を大切にしたい場合の選択肢です。

消化器疾患(慢性下痢・嘔吐など)

犬では、慢性的な下痢や嘔吐、食欲不振をくり返すケースも少なくありません。
漢方では、

  • 胃腸の働き
  • 水分バランス
  • 冷えやストレスの影響

などを総合的に考え、体質に合った処方を行います。
一時的に症状を抑えるのではなく、消化器そのものを整える治療として選ばれることがあります。

老齢疾患・未病

高齢の犬では、検査では大きな異常が見つからなくても、

  • 疲れやすくなる
  • 寝ている時間が増える
  • 食欲にムラが出る

などの変化がみられます。
漢方治療では、こうした未病の段階から体を整えることを大切にしています。
症状がはっきり出てから治療を始めるのではなく、体力・免疫・内臓の働きを穏やかに支えながら、病気になりにくい体を目指します。

認知機能の低下・メンタルの不調

高齢の犬では、

  • 夜鳴き
  • 昼夜逆転
  • 反応の鈍化

など、認知機能の低下がみられることがあります。
また、不安が強くなる、落ち着きがなくなるなど、メンタル面の変化が現れる犬も少なくありません。
漢方治療では、脳の巡りや自律神経のバランスを整えながら、心と体の両方を穏やかに支えます。
強い精神安定薬に頼らず、自然なかたちで心身を整えたい場合の選択肢です。

猫でよくみられる漢方治療の適応疾患

猫は症状を隠しやすく、気づいたときには慢性化していることが多い動物です。
体への負担が少なく、ゆるやかに体調を整える漢方治療との相性が良いのが特徴です。

慢性腎臓病

猫で最も多い慢性疾患のひとつが慢性腎臓病です。

  • 食欲低下
  • 体重減少
  • 嘔吐
  • 元気消失

などの症状がみられます。
漢方治療は、腎臓の負担をできるだけ抑えながら、体の巡りや水分バランスを整え、穏やかな体調維持を目指します。

消化器疾患

猫では、慢性的な食欲不振や軟便、嘔吐をくり返すケースも少なくありません。
漢方では、胃腸の冷えやストレス、体質を考慮しながら処方を調整し、体の内側から消化機能を整えます。

老齢疾患・未病

高齢の猫では、

  • 慢性的な体重減少
  • 食欲不振
  • 活動性の低下

などがみられます。
漢方治療は、猫の体に無理な負担をかけず、内臓機能や免疫の働きを穏やかに支える自然療法です。

認知機能の低下・メンタルの不調

猫でも犬と同様に高齢になると、

  • 夜に大きな声で鳴く
  • 目的なく歩き回る
  • 反応が鈍くなる

などの行動がみられることがあります。

また、環境の変化や体調不良によって、不安が強くなる、攻撃的になるなどの変化が現れることもあります。
漢方治療では、猫の体質や精神状態を総合的に見ながら、自律神経や脳の巡りを整えていきます。

漢方治療に対するよくある誤解

漢方治療は「効果がない」「気休めの治療」と思われることがありますが、体の内側のバランスを整えることで、根本的な体質改善を目指す医学的な治療法です。
副作用がなく、さまざまなタイプのものがあるので、西洋医学では薬が無い病気でも使える万能な治療法といえます。
また、外科疾患には効果が出にくいですが内科疾患には効果がでやすいという特徴もあります。

当院は漢方治療を含む統合医療に力を入れています

漢方治療は、病気の治療だけでなく、未病の段階から体を整え、犬や猫が本来もっている回復力を引き出す自然療法です。
当院では、犬・猫の体質や症状、年齢、飼主様のお考えを大切にしながら、無理のない治療をご提案しています。
「最近なんとなく元気がない」「将来の病気を予防したい」「年齢とともに変化が気になってきた」など、どんなお悩みでもお気軽にご相談ください。